• 6月 17, 2024

不整脈の症状と最新の検出方法について:スマートウォッチの活用法

外来によく動悸、脈が飛ぶ、拍動が強く感じられるなどの症状で受診される方を多く見受けられます。

これは、脈が正常ではなく、なにかしら脈が「整っていない」状態か、脈が速い(頻脈、脈が100回/分 以上)もしくは、脈が遅い(徐脈、脈が50回/分 以下)ことの症状であることが多いです。

上記のどの場合も、毎日症状がある場合は、ホルター心電図を行うことで、症状と不整脈を一致させることができるため診断はつけることができます。

ただ、症状は、一カ月に数回しかないよ、という方は、症状がない時にホルター心電図を行っても、有力な手掛かりが得られないことも大いにありえます(ただし、心電図をみることである程度、推測をすることはできる場合もありますので、ホルター心電図を勧めることはあります)。

最近のトピックでいうと、アップルウォッチ(および類似の腕時計型デバイス)で、心房細動という不整脈がわかる時代となってきていることをご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。自分の脈拍がどのくらいなのか、脈が規則正しいかを適時、自分のタイミングで確認もしやすくなってまいりました。

心臓の世界でとても有名な雑誌、Circulation誌に2020年に発表された内容で、「アップルウォッチを活用することでの心房細動の検出率が上昇する」                           

Circulation. 2020 Feb 25;141(8):702-703.

と報告がありました。それ以外にも様々な国でアップルウォッチ、スマートウォッチが研究され、臨床での不整脈の検知率は上昇するといったものでした。我が国でもアップルウォッチとiPhoneを使用した「心房細動」検出機能が、2021年に家庭用医療機器として厚生労働省から承認をうけたことは記憶に新しいです。

アップルウォッチ(および類似の腕時計型デバイス)を使用した心房細動の見つけ方をお伝えしておきます。

脈波計測と心電図計測の2つの機能を使用します。脈波計測は、光を皮膚にあてて皮下の血管の拍動をしらべます。装着するだけで、定期的に脈拍のチェックを受けられます(PPG photoplethysmography光学容積脈波測定)。心電図は、装着者が装着している腕と反対の指で時計を触ることで計測できます。

実際、心房細動の患者さんで4人に1人は無症状であることも言われています。症状がなくても一度自分の脈が正常かどうかは調べてみてもよいかもしれません。

検出機能が備わっているスマートウォッチは以下に記載するものになります。

  • アップル社 アップルウォッチ (バージョン:Apple Watch Series 4~9、Ultra1、2)
  • 心電計や心拍数をモニタするプログラムを搭載するその他のスマートウォッチ

※対応機種かどうかについては、販売店にお問合せください。

当クリニックの外来では、スマートウォッチの心電計や心拍数のデータを印刷したものを、もしございましたらご持参していただくか、連携しているスマートフォンを拝見させていただきます。

それを確認することで、心臓超音波で心筋の異常がないか、心臓に負荷がかかっていないか、基礎疾患がないか、弁膜症がないかなどを精査することをお勧めすることもありますし、上記で述べたホルター心電図を施行することもあります。

また、よく耳にされているかもしれない、「期外収縮」という不整脈も、数発ぐらいなら我々の日常生活でのストレス(睡眠不足、環境にともなうストレス、喫煙、カフェインなど)が原因で起こりうるものです。これは一度精査して、一日に何%ほど出現しているのか、連発はあるのか、出現する時間帯、状況はどうか、多源性であるのかなどによって、重症度はピンからキリまでありうるのです。スマートウォッチウォッチで「期外収縮の可能性」を指摘されたら、一度は精査することをお勧めいたします。

治療が必要な不整脈は、今後、心不全や脳梗塞などの合併症を引き起こす可能性のある不整脈のことをいうため、早期発見、早期治療介入はとても重要なことだと思います。

せっかくアップルウォッチ、スマートウォッチがアラートを出して教えてくれているのであれば、そのまま放置せずに、一度当クリニックにその旨を伝えにきてもらい精査して、異常があればもちろん治療介入を行いますし、仮に問題なかったとしても、経過観察で問題ないことを確認することが日常生活を安心して暮らせることの助けになればと、切に願います。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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