- 10月 20, 2025
血糖値は生活の鏡
CGM(持続血糖測定)で見える、わたしの健康〜
2024年6月から、インスリン治療を受けていない2型糖尿病の方でも、選定療養として間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を自己負担で使用できるようになりました。
血糖値を「見える化」することで、生活習慣と体調のつながりを実感する大きなチャンスです。
そのため、今回 血糖を知ることがいかに重要かを書いてみることとしました!!
私も、実は リブレ2を使用して自分の血糖値の推移を確認して食事療法を行い、生活習慣を改善した事もあります。
そして、健診で、空腹時血糖値が正常、HbA1cの値も正常だから大丈夫と思っているあなた!! 実は食後高血糖は、健診の結果だけではわからないこともあるので要注意です。
血糖スパイクを繰り返すことは、糖尿病発症のリスクとなるからです。
血糖値は、わたしの暮らしを映す鏡
血糖値は、食事・運動・睡眠・ストレスなど、日々の生活の影響を受けて変動します。CGMを使えば、これらの変化をリアルタイムで確認でき、「自分の体がどう反応しているか」を知る手がかりになります。
たとえば、食後に血糖値が急上昇することはよくありますが、ウォーキングをすることで緩やかに下がることも。逆に、空腹時の運動では交感神経が活性化し、一時的に血糖値が上がることもあります。
☆ 運動で血糖値が上がるのは自然な反応
運動時には交感神経が優位になり、アドレナリンやコルチゾールなどのホルモンが分泌されます。これらは肝臓に働きかけて、グリコーゲン(糖の貯蔵形態)をグルコースに分解し、血中に放出させます。
これは「戦うか逃げるか(fight or flight)」の反応で、筋肉がすぐにエネルギーを使えるようにするための準備です。つまり、運動中の血糖上昇は悪いことではなく、むしろ必要な生理反応なのです。
☆ 問題になるのは「慢性的な高血糖」
一方で、以下のような状態が続く場合は注意が必要です:
食後に血糖値が急上昇し、その後も高いまま下がらない
空腹時でも血糖値が高い
ストレスや睡眠不足で常に交感神経が優位になっている
このような状態が慢性的に続くと、インスリン抵抗性が進み、2型糖尿病のリスクが高まるとされています。
☆ 自律神経と血糖のバランスがカギ
交感神経:活動・緊張・運動時に優位 → 血糖値を上げる
副交感神経:休息・リラックス時に優位 → 血糖値を下げる方向に働く
つまり、自律神経のバランスが整っていることが、血糖コントロールにもつながるのです。
☆ 血糖値の「下がり方」は異常か?
血糖値は食後に必ず下がるものです。問題は「どの程度の速さ・幅で下がると異常なのか?」という点です。
現時点では、急降下の明確な数値基準は存在しません。一部の臨床医が「短時間で40mg/dL以上の低下があると症状が出やすい」と経験則で語ることはありますが、これはあくまで参考程度。
重要なのは、症状との関連性です。血糖値が安定していても眠気やめまいが出る場合は、他の要因(睡眠不足、消化負担など)も考慮する必要があります。
☆ CGM(持続血糖測定)で「連動性」を見つける
CGMは、血糖値の変動と症状のタイミングを照合することで、「血糖が原因かどうか」を客観的に判断する材料になります。
たとえば:
「ウォーキングのあと、なぜか血糖値が上がっていた。でもそれは、体がエネルギーを必要としていた証拠。運動後30分ほどすると血糖値はしっかり下がってきた。
CGMで見えると、体の仕組みがよくわかります。」
このように、数値の変化を通じて自分の体を知るというメッセージは、健康意識を高めるきっかけになります。
☆ Time in Range(TIR)という新しい指標
CGMでは、血糖値が目標範囲(通常は70〜180mg/dL)にある時間の割合=TIR(Time in Range)を評価できます。
TIRが70%以上であれば、血糖コントロールは良好とされます。
TIRが低い場合は、血糖変動が大きく、合併症リスクが高まる可能性があります。
これは、単なる HbA1c (%) では見えない血糖の質を評価する新しい視点です。
☆ 食後高血糖が続くとどうなる?
食後高血糖が長時間続くと、酸化ストレスや炎症反応が亢進し、血管内皮機能が障害されることが複数の研究で示されています。
特に、食後2時間血糖値が180mg/dL以上の状態が続くと、動脈硬化や微小血管障害のリスクが高まるとされます。
日本糖尿病学会の診療ガイドラインでも、食後2時間血糖値が140〜199mg/dLは「境界型」、200mg/dL以上は「糖尿病型」とされ、持続的な高血糖は病的とみなされます。
当院でのご案内
当院では、フリースタイルリブレ(持続血糖測定を行う機械)を取り扱っております。 ご興味のある方は、当院にご連絡いただくか、診察室でお気軽にご相談ください。
自費でのご案内となります。
まとめ:血糖値は「生活の鏡」
CGMは、血糖値を通じて「自分の体のリズム」を知るツールです。 数値だけでなく、変動のパターン、症状との関係、生活習慣とのつながりを見つけることで、自分に合った健康管理が可能になります。
「血糖値は生活の鏡」——その言葉の意味を、CGMが教えてくれるかもしれません。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。