• 3月 16, 2026
  • 3月 19, 2026

Apple Watchの不整脈通知が出たら受診すべき?

以前、スマートウォッチの活用について当院のブログでご紹介したところ、その記事をご覧になった患者さんから、スマートウォッチや家庭用心電計に記録されたデータを持参して受診されるケースが増えてきました。
中でも印象に残っている症例として、これまで動悸の原因がはっきりせず診断に苦慮していた方が、スマートウォッチに記録された心拍データや心電図をきっかけに不整脈が疑われ、比較的短期間のうちに診断へ至ったケースがあります。
その後、専門医療機関でカテーテルアブレーション治療が行われ、長く悩まれていた動悸症状から解放されたとのことでした。

このような経験から、日常生活の中で心拍や心電図を記録できるウェアラブルデバイスの進歩は、循環器診療においても大きな意義を持ち始めていると感じています。
もちろん、これらのデバイスだけで診断が確定するわけではありません。

しかし、症状が出た瞬間の記録が残ることは、診断の重要な手がかりになることがあります。
そこで今回は、改めて スマートウォッチや家庭用心電計の役割についてご紹介します。

☆Apple Watchの不整脈通知が出たら受診すべき?

最近のスマートウォッチには、脈の不規則性を検出する「不整脈通知機能」が搭載されています。
特に Apple Watch では、心拍のリズムを解析し、不規則な脈が検出された場合に「不整脈の可能性があります」という通知が表示されることがあります。
では、この通知が出た場合、必ず医療機関を受診する必要があるのでしょうか。

結論から言うと、必ずしもすぐに病気が見つかるとは限りませんが、一度は医療機関で相談することが望ましいと考えられています。

通知が出ても、必ず不整脈とは限りません。
一方で、スマートウォッチの通知をきっかけに心房細動が見つかるケースがあることも知られています。

☆心房細動とはどんな病気か

心房細動は、心臓の上の部屋である心房が不規則に電気活動を起こすことで生じる不整脈です。
特徴として
・脈が不規則になる
・動悸を感じることがある
・無症状のことも多い     
などがあります。

特に重要なのは、心房細動があると・脳梗塞
・心不全
・心臓構造の変化
・弁膜症(心臓の中で逆流)の進行    
などのリスクが高くなることです。 そのため、早期発見と適切な治療が重要とされています。

☆スマートウォッチによる心房細動検出の研究

スマートウォッチによる不整脈検出については、海外で大規模な研究が行われています。
代表的な研究として、2019年に医学雑誌 『The New England Journal of Medicine』 に掲載された Apple Heart Study があります。
この研究では、約 42万人 のスマートウォッチ利用者を対象に、不整脈通知機能の有用性が調べられました。

その結果
通知を受けた人のうち、後に装着した心電図パッチで 約34%に心房細動が確認されました。
通知が出たタイミングの 約84%は実際に不整脈と一致していました。
この研究から、スマートウォッチの不整脈通知は必ずしもすべてが病気を意味するわけではないものの、心房細動を発見するきっかけになる可能性があることが示されています。

また、もう一つのエビデンスをご紹介いたします。
もう一つは、循環器領域の主要な医学雑誌である『 Journal of the American College of Cardiology(JACC)』 に掲載された EQUAL trialがあります。
この研究では、スマートウォッチを用いた心房細動スクリーニングが、通常の診療と比較してどの程度有効かが検討されました。
研究では、心房細動のリスクが比較的高い高齢者を対象に、スマートウォッチを用いたモニタリング群・通常の診療のみの群の2つに分けて比較が行われました。

その結果、スマートウォッチを用いた群では、新たに診断された心房細動の割合が約9.6%であったのに対し、通常診療のみの群では 約2.3%でした。
つまり、スマートウォッチによるモニタリングを行った場合、心房細動の発見率がおよそ4倍高かったことになります。

☆スマートウォッチと家庭用心電計の使い分け

大まかにいうと、次のような使い分けになります。
スマートウォッチ 
・日常の心拍モニタリング
・脈の不規則性の検出

家庭用心電計
・単一誘導の簡易心電図を30秒程度記録が可能
これは精度が高く、P波といった重要な波形を記録でき、不整脈の診断、アブレーション手術適応まで判断することができることがあります。

まとめ
スマートウォッチや家庭用心電計は、心拍数のモニタリング、不整脈の検出の可能性、動悸発作時の記録という点で、日常生活の中で心臓の状態を把握する一つの手段になっています。

ただし、最終的な診断や治療の判断には医療機関での心電図検査やホルター心電図などによる評価が必要です。
当院では、ホルター心電図に追加して、5日間心電図、10日間心電図も行うことができます。

動悸や不整脈の通知がある場合には、循環器専門医への相談をおすすめします。
スマートウォッチや家庭用心電計の記録があれば、診断の参考になることもありますので、ぜひ診察の際にご提示ください。
当院でもお気軽にご相談ください。

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