生活習慣病について
生活習慣病は、日頃の不摂生な生活習慣がきっかけとなって発症する病気の総称です。代表的な疾患には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、痛風、メタボリック症候群などがあります。
高血圧
高血圧って?
高血圧とは、血圧がある程度の範囲を超えて高くなってしまう病気です。私たちの血圧は常に一定というわけではなく、刻一刻と変化しています。緊張しているとき、ストレスがかかっているときは血圧が上がりますし、夜リラックスしているときなどには低くなります。ですから、一度血圧を測って高かったからといって、必ずしも高血圧とはいえません。安静時に基準値内まで下がれば大丈夫です。しかし、慢性的に高い場合は、常に血管に圧力が加わって、動脈硬化の原因になります。さらに、心臓の負担も重くなり、疲弊しやすくなります。その結果、心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓血管系の病気を招いたり、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患の原因になったりします。治療においては、主に血圧を下げるお薬を使用します。医師から薬を処方されたときは、指示通りしっかりと飲むようにしてください。
高血圧に種類があるの?
また高血圧にも、年齢に伴う高血圧から、頭の中の病気、甲状腺疾患、副腎ホルモン疾患、腎臓疾患(腎臓自体が悪い、腎臓血管の狭窄)も関係していることもありますので、高血圧というだけの方も、一度全身精査を行うことをお勧め致します。
高血圧に対する降圧剤、治療を開始してしまうと、ホルモンの検査がすぐには行えないため、薬を内服前に、ホルモンの検査は行うことはお勧め致します。
糖尿病
脂質異常症
コレステロール異常は何が悪いの?
コレステロールが高いぐらい別にいいじゃないと思う方もいるかもしれません。
脂質異常症は、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり過ぎたり、HDLコレステロールが少なくなり過ぎる病気です。脂質異常症を放置すると、増えた脂質がどんどん血管の内側に溜まっていき、動脈硬化を引き起こします。きちんと治療を受けておかないと、心筋梗塞や脳梗塞によって命を落とす危険性も高まります。
そのため、検診でコレステロール、悪玉コレステロールそして中性脂肪の高値などを指摘された方は、これを期にしっかり調べることをお勧めいたします(余分となったコレステロールが体の様々な部位に蓄積します。典型的な蓄積する部位は、皮膚か、アキレス腱です。採血、レントゲン撮影でアキレス腱肥厚の有無などを評価します)。
もし家族性高コレステロール血症であれば、若年で心筋梗塞や脳梗塞を患うことが少なくなく、早期の悪玉コレステロール(LDL‐コレステロール)の管理、厳格な降下療法が求められます。また神戸大学医学部附属病院と連携して、遺伝子検索も行うことも可能です。結果によっては指定難病疾患に認定され医療費助成を受けることもできます。
また、糖尿病、糖尿病予備軍と指摘された方も同時に、他にも生活習慣病が隠れていないか検査したほうがよいでしょう。悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)、善玉コレステロール(HDL‐コレステロール)、中性脂肪、尿酸値を追加して調べることをお勧めします。
高血圧、糖尿病が併存しているかどうかなどでも治療目標は変わってきますのでお気軽にご相談ください。
採血では腎臓機能、肝機能検査もしっかり評価を行い、頸動脈エコー、動脈硬化検査(ABI)なども同時に測定行い、必要に応じて血管病の予防を行うよう指導をします。
治療としては、冠動脈の病気などの明らかな動脈硬化による病気がない場合は、生活習慣の改善と薬物療法が基本となります。当院では、医師、もしくは管理栄養士から生活習慣への改善のアドバイスや、薬物療法を行わせて頂きます。
痛風(高尿酸血症)
高尿酸血症は、血液に含まれる尿酸値が高くなっている状態です。内臓脂肪が蓄積されると、脂肪細胞からたくさんの遊離脂肪酸が分泌されます。それが血流に乗って肝臓に運ばれ、プリン体の代謝を過剰にします。これに伴い、尿酸がたくさん作られるようになるのです。こうした状態が長い期間続くと、結晶となった尿酸が関節などに溜まって結晶化し、ある日突然、足の親指の付け根などの関節が赤く腫れて痛み出します。これがいわゆる痛風です。その痛みは耐えがたいほどで、「風に吹かれただけでも痛い」という意味合いを込めて命名されました。痛風の治療に関していうと、近年は良い薬も開発されたため、正しい治療を受け、生活改善をすれば、まったく健康的な生活が送れます。しかし放置すると怖いので、お早めに医療機関を受診するようにしてください。
メタボリック症候群
内臓に脂肪が溜まってお腹がぽっこり出ている方は、血糖や血圧、脂質値などの異常をきたしやすく、糖尿病などの生活習慣病を引き起こしやすいといわれています。そのため、内臓脂肪型肥満のある方で、一定の基準を満たしているときは、メタボリック症候群と判定され、生活習慣の改善など、医師による治療が必要となります。
メタボリック症候群は内臓脂肪が蓄積していること(男性ウエスト85㎝以上、女性ウエスト90㎝以上)に追加して、血圧、中性脂肪(HDL)、空腹時血糖異常があれば診断(この3項目のうち、2項目以上に該当するときはメタボと診断)されます。食事指導、運動療法が基本にはなりますが、体重減少をすることで体内の代謝が改善し、それに伴い血圧、コレステロール、血糖管理が改善することもありますので高度肥満の方は相談ください(自由診療にはなりますが様々な薬物治療も可能です)。
メタボの診断基準(選択項目)
- 脂質値
- ・中性脂肪(トリグリセライド)が150mg/dl以上
かつ/または
・HDLコレステロールが40mg/dl未満 - 血圧
- ・収縮期(最大)血圧が130㎜Hg以上
かつ/または
拡張期(最小)血圧が85㎜Hg以上 - 血糖値
- ・空腹時血糖値が110mg/dl以上